法人設立手続 -定款の決め方-

freee株式会社が提供する会社設立の仕組みを使うと、非常に簡単に会社を設立することができ、専門家に依頼せずに会社を設立するケースも増えています。スムーズにいけば2週間程度で設立登記まで完了できます。非常に便利な

ただ、必要な考慮事項を考えずに設立してしまうと、あとあと追加的な手間やコストがかかってしまう可能性もあります。

そこで、ひとり社長や小規模事業者の法人成りなどの会社設立における簡単な流れを見たうえで、定款の作成にあたり考慮すべき事項を説明します。

 ※株式会社の設立を前提としています。

以下のような方におススメの記事です
・会社設立を考えているが、定款の決め方がわからない。
・自分で会社を設立したいが、提供される定款のひな形をそのまま使ってよいのかわからない。

会社設立のステップ

会社を設立するためには、大雑把にいうと①定款の作成と認証、②設立登記、③出資の3ステップを踏むことになります。

定款の作成と認証

定款は、会社における憲法のようなものです。会社設立時にその会社の決めごととして定款を作成します。

定款には、絶対に記載しないといけない事項「絶対的記載事項」と、該当する場合には記載しないと効力が生じない「相対的記載事項」、任意に記載できる「任意的記載事項」があります。それぞれどのような事項を記載するのか見ていきます。

絶対的記載事項

  • 目的
  • 商号
  • 本店の所在地
  • 出資額
  • 発起人の氏名及び住所
  • 発行可能株式総数

上記を記載しないと、定款は効力を有しません。

相対的記載事項

  • 現物出資をする場合その内容
  • 設立後譲り受けを予定している財産等の内容
  • 発起人の報酬等の内容
  • 会社の負担する設立費用の内容
  • 株式の譲渡制限に関する定め
  • 取締役等の任期の伸長(原則2年だが、譲渡制限がある会社(=非公開会社)であれば可能)
  • 公告の方法

上記は、該当がなければ記載しなくてもよいですが、記載しなければ当該事実は無効となります。例えば、現物出資について記載していない場合、現物出資を受けたとしても会社の取引として効力を有さないこととなります。

任意的記載事項

  • 事業年度
  • 株主総会に関すること
  • 取締役等の役員の数などです。

法律に定められた範囲であれば、自由に定められます。

次に、定款の認証方法です。

定款作成後

定款は、紙、電子いずれでも作成することが可能ですが、紙で作成する場合は印紙税4万円がかかります。電子で作成すればかかりません。

作成した定款は、公証役場の認証を受けます。認証手数料は5.2万円です。

設立登記

定款が認証されたら、法務局(千葉県に会社を設立した場合には千葉市にある法務局(支部では不可))にて登記手続きをします。登録免許税15万円がかかります。

2週間といわれますが、数日で登記が完了し、晴れて会社が設立されます。

出資

資本金として出資する金額を用意します。

設立時点では会社名義の銀行口座はないため、一旦自分自身の銀行口座に出資額を振り込んで、設立後銀行口座が開設されたら振り込むという少々不思議な手順ととります。

設立し会社名義の口座が作れたら、振込み致します。

定款記載事項についての各種検討事項

定款の記載事項は、どのように決めていったらよいでしょうか。各項目の考慮事項について見ていきます。

定款記載事項についての考慮事項

絶対的記載事項

記載事項留意点
目的目的とは、会社で行う事業を簡潔にまとめたもの。
■会社は定款で定められた範囲内でしか事業を行えないため、現在行っている事業だけでなく、将来的に行う予定の事業についても書いておく必要があります。
■建設業や旅行代理店など、許認可が必要な事業を行う場合には、目的の記載が許認可事業に合致していないと許認可が受けられない可能性があるため注意です。
■書きすぎない。融資を受ける際など、軸足がわからなかったり実態がつかみづらくなり、金融機関の印象が悪くなります。
■「前各号に付帯関連する一切の事業」と書いて締めくくります。こうしておくことで、想定の事業から派生したような依頼が来た際にも、広く目的の範囲に含まれることとなります。
商号商号にもルールがあります。誤った内容で登録し出戻りが生じないように留意しましょう。
(「株式会社」などの会社種類名を入れないといけない、「&」はOKだが、「☆」はダメなどルールがあります)
本店の所在地■市区町村までしか書かない
市区町村まで記載すれば足りるため、会社の住所全部を書かないようにしましょう。そうしておけば市内の移転の場合には定款変更不要になります。
■賃貸物件の登記可否の確認
個人開業の場合自宅を本店所在地にするケースが多いですが、賃貸物件の場合、事業用での使用を認めていないケースが多くあります。
本店所在地として登記する前に、貸主に確認するようにしましょう
出資額出資額は1円以上とすれば設立は可能ですが、あるべきとしては多すぎず少なすぎず設定します。
■消費税の観点
資本金を1000万円以上としてしまうと、1年目から消費税の納税義務が生じてしまいます。
■融資の観点
通常は運転資金として必要な金額を出資金とします。もちろん、資本金は最小にして役員借入のような形で追加で賄うことも可ですが、
創業融資などでは「計画性」が重視されるため、資本金の設定額も将来計画に基づき十分に考慮して決定することにより印象が良くなります。
1円などにしてしまうと、資金計画はちゃんとしているのか?や、会社とプライベートのお金を混同してしまうのでは?といった疑念を抱かれ兼ねません。
その点からも、必要な運転資金を賄える金額を資本金として出資しておきます。
■許認可の観点
建設業などの認可には資金要件があります。必ずしも資本金がその金額を上回るようにする必要はないですが、認可の取りやすさの観点からも、許認可に必要な資金を資本金としておくとよいです。
発起人の氏名住所   留意点は特にありませんが、転居予定であれば転居後の方が事後の手間とコストは削減できます。
発行可能株式総数発行可能株式総数は、設立時発行株式数との兼ね合いと、設立以降に誰に株式を発行する見込みがあるかどうかで決定します。
非公開会社の場合は、発行可能株式総数の規制はありません(会社法37条)

設立後の株式引き受け先としては主にベンチャーキャピタルが考えられますが、過半数を超える株式を第三者に握られると経営の主導権を奪われることとなるため、あまり多くの株式を発行することはないでしょう。
上場することになったら、株式分割などをして取引単位を引き下げることが必要になるかもしれませんが、個人や同族で経営を続けるプランであれば気にするところではありません。
通常、発行可能株式総数は、通常は設立時発行株式数の10倍程度としておきます。

相対的記載事項

記載事項留意点
現物出資をする場合その内容 現物出資する場合にはその内容を定めます。特に法人成りの場合などに現物出資を受けるケースがあります。
現物出資財産を過大に評価し他の出資者に損害を与えるリスクを抑えるため、500万円を超える場合には検査役の検査が求められます。
設立後譲り受けを予定している財産等の内容現物出資の抜け道として設立後の財産引き受けも現物出資と同様の規制を受けます。
発起人の報酬等の内容支払う場合は金額にかかわらず検査役の検査が必要となります。
金額にかかわらず検査役の検査が必要となるため、記載するケースは極めてレアです。
会社の負担する設立費用の内容設立前に発生した費用(登録免許税等必ず発生する費用は除く)。賃料等。発起人が不必要な支出を会社に負担させることを避けるために記載を要する。
金額にかかわらず検査役の検査が必要となるため、記載するケースは極めてレアです。
株式の譲渡制限に関する定め株式を譲渡する場合には、株主総会の決議を必要するような定めです。
■経営リスクの観点
複数人で出資して会社を始める場合、株式譲渡制限を付しておかないと、仲違いした後などに勝手に誰かに譲渡されてしまうリスクがあります。制限を付しておけば、勝手なことをされるリスクが抑えられます。
■取締役の任期を伸長できる
下記参照
取締役等の任期の伸長(原則2年だが、譲渡制限がある会社(=非公開会社)であれば可能)全ての株式に譲渡制限を付した会社(非公開会社)であれば、
取締役の任期を最長10年にすることができます。取締役は株主総会などで再任すればよいですが、その手間を減らすことができます。
公告の方法通常は官報に掲載するか電子的方法(HPに掲載)を採ります。
官報公告はコストがかかり、HPに掲載にすればコストはかかりません。

任意的記載事項

事業年度     事業年度は、1年以内の期間で自由に定めることができますが、ちょうど1年にすることが通常です。
中途半端な日付にすると色々面倒なため、末日で設定します。7月15日に設立した場合には、6月末までの1年弱を1期目とします。
ただし、下記のような点も考慮に入れます。
■繁忙期をずらす
決算前後は決算対応で手間がかかるため、事業の繁忙期に季節性があるような場合は、避けた時期にすることが望ましいです。
■消費税納税義務
消費税は、通常2年間は免税(消費税の納税義務なし)となりますが、設立直後から売上好調の場合は2期目から納税となる可能性もあります。そこで、1年目を短くすることによって、3期目まで免税となるよう考慮することも考えられます。特定期間の判定|国税庁 (nta.go.jp)
株主総会に関する 取締役等の役員の数  株主総会に関する招集方法や取締役等の人数などについても必要に応じて定めておきます。
ひとり社長で設立するような場合には、1名とする旨を定めておくとよいですが、取締役の人数が変動する可能性がある場合などは、人数を定めてしまうと定款を変更する手間が生じます。

まとめ

会社を設立するのは、知識や労力が必要となり、ネットで調べれば色々出てくるものの、不安はつきものです。

会社設立費用は、定款認証手数料や登録免許税の必ずかかる金額(株式会社の場合202,000円)と、依頼する場合には行政書士や司法書士もしくは行政書士等と連携している税理士などに依頼する手数料(だいたい100,000円)がかかります。

手間や先々のリスクなどを考慮して専門家への依頼の有無をご判断いただければと思いますが、freee会社設立などの機能を使用しても簡単に手続ができます。

とはいえ、スタートをしくじると事業自体の運営にも悪影響が出る可能性もありますので、慎重に検討いただくことが重要です。

当事務所でも会社設立に関するご相談やお手続き代行を承っておりますので、お気軽にご相談ください。

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